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名馬の引退式をプレイバック

 いよいよ目前に押し迫った暮れの大一番・有馬記念。これが現役ラストの一戦となるオルフェーヴルは、レース後に引退式を執り行う予定となっている。過去幾多の名馬たちが最後の勇姿を披露してきた引退式。その歴史を簡単に紐解いてみたい。

 日本競馬史上初となる引退式を行ったのは、第1回中山グランプリ(現在の有馬記念)の覇者メイヂヒカリだ。昭和32年1月15日の中山競馬場が舞台となった。現在は引退式を行うにはJRAの規定を満たしていなければならないが、当時は東京競馬記者クラブの企画として開催されている。

 初めて東京、京都の2カ所で引退式を敢行したのが“五冠馬”シンザンである。これに笠松を加えた3カ所でファンに別れを告げたのが、ご存じオグリキャップ。その人気ぶりを如実に物語る記録といえよう。

 名門松山吉三郎厩舎の同朋モンテプリンスとシービークロスは、2頭の併せ馬でターフを駆け抜けて競馬場を沸かせた。
 三冠牝馬メジロラモーヌは実戦さながらのスピードで疾走し、いまだ破られていない引退式レコード?をマークしている。
 シンザンの最高傑作ミホシンザンは当初予定していた日が大雪に見舞われて中止。翌週に延期されたが、またしても降雪により午前中で競馬開催が続行不可能に。なんとか引退式は行ったものの、芝コースが閉鎖されたため生涯で初めてダートを走ることとなった。

 近年のトレンドは、ラストランのあとそのまま引退式を行うパターン。海外GIも制してまさしく無敵状態、誰もが勝って華々しく去っていくものと信じていたタイキシャトルであったが、よもやの3着敗退。競馬に絶対がないことを思い知らされた一幕だった。

 こうして数々の名場面を生んできた引退式だが、無事に現役生活を終えたうえに成り立っていることを忘れてはならない。それだけにエイシンフラッシュの電撃引退は無念であり、ますます全馬の完走を願わずにはいられない。

(美浦厩舎班・常木翔太)

2013年12月20日