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2歳春から特別な存在感があったオルフェーヴル
オルフェーヴルの凱旋門賞挑戦に沸いている1週間。ライバルが続々と回避したこともあり、日本ホースマン永年の夢がいよいよ実現に近づいてきた。
オルフェーヴルを2歳春の産地馬体検査で見た時のことははっきりと覚えている。社台グループが大半を占める早来ホルスタイン市場の検査は、約4時間で200頭もの良血馬が次々と登場してくる。よほどの良血馬か、前評判の高い馬以外は、なかなか印象には残らないもの。ドリームジャーニーの全弟とはいえ、社台ファーム、ノーザンファームの超良血馬に比べれば際立った血統ではなく、事前ではほぼノーマークだった。
それでもよく覚えているのは「ステイゴールド産駒にしては馬体が良すぎる」ことが強く印象に残っていたから。気合満点に厩務員を引っ張る様子は、いかにもステイゴールド産駒らしかった。しかし、当時の評価は、全兄ドリームジャーニーがそうだったように「みすぼらしいような小柄な産駒が走る」というもの。オルフェーヴルは、この産地馬体検査のなかでベストルッキングホースと思えるほど立派に見えたため「兄のようには走らないのではないか」と思ってしまった。全兄が活躍馬だと、どうしても似たタイプを「良し」としてしまうのだ。
いまにして思えば、8月のデビュー時が448キロだったのだから、牡馬にしては小柄だったはず。立派に見えたのは、「大きく見せる」という名馬ならではの特徴だったのかもしれない。POGでもパドックでも、馬を見る時には先入観を持たないことが重要であることを教えてくれた馬でもあった。
そのオルフェーヴルが世界一に王手をかけている。スピードシンボリが挑戦した時代から夢を描いていたオールドファンにとって、これまでの悔しさを晴らすような勝利を期待したい。
2012年10月05日
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