馬三郎25時

玉川祝

苦労した馬だからこそ喜びも倍増

　先日行われた毎日王冠でダイワメジャー以下を破り、10年ぶりに清水利厩舎がグレードレースを制した。「ジャイアンツが優勝したから、毎日王冠はチョウサンが勝ったんじゃない」と、笑い声とともにオカルトチックな言葉も美浦調教師ルームでは響き渡り、師を祝福する声で絶えなかった。
　ところでこのチョウサン、競馬だけを見ていると「気性が悪いなあ」とは全く感じないが、実は美浦では指折りに調教をつけるのが大変な馬なんです。角馬場で立ち上がったり、予測できない動きを急にとったりで、何度も騎乗者を振り落としているそうだ。近くでケイコをしている人が口々に「あの馬危ねえなあ」と言うのだから、相当なものなのだろう。
　そんな難しい馬を専属で調教をしているのは中助手。彼に印象を聞くと「朝、目が覚めるでしょ。はあ?、チョウサンが待っている…とまずため息が出る。そんな馬だよ。本当に乗る前は憂うつだね。またがっている時も、最初から最後まで緊張しっぱなしだよ」とその苦労を苦笑いで語ってくれた。でも大変な分、喜びもきっと倍増したことだろう。心からおめでとうと言いたい。
（美浦想定班・玉川　祝）

2007年10月17日