馬三郎25時

安川時男

『ジジイ』？に追い打ちのニューポリトラック

　水曜の朝、メモを取るノートをのぞき込みながら某調教師が言った。

　「それは未勝利馬！」

　筆者は開催番組表の新馬の欄にその馬名を書き入れていた。都合の悪いことに、先週も同じ厩舎の未勝利馬を５００万下の欄に書いたものだから、師が不機嫌になるのも無理はない。ハーツクライのことを「ルメールが先行馬に変えた社台の馬」と言うようになったら、もう終わり。そう、このところ脳ミソの劣化が著しいのである。中年より老化した肉体を持ち、少年より幼い精神年齢の26歳、Ｓ田記者からは『ジジイ』呼ばわりされる始末だ。

　そんな折、予想ファクターの一つとしてニューポリトラック馬場なるものが加わった。ただでさえ迷いに迷って◎を打つだけに、新コースでの調教のよしあしを消化し切れるかは微妙。そこで、試乗を終えた北村宏に取材を敢行した。

　「走りやすい馬場ですね。蹄踵を傷つけ、あかぎれにする心配もないでしょう。ズリッと後ろに滑る感じがなくグリップがいいので、そのまま推進力になる感じです」とのこと。さらに「下級条件の馬でも、恐らく時計が速くなると思いますよ。まあ、競馬記者の中でだまされる人はいないでしょうけど、ね」とニヤリ。26歳の一流ジョッキーにからかわれる分には、まだ『ジジイ』は許せる。

（美浦想定班・安川時男）

2007年11月16日