馬三郎25時

坂本卓也

新聞業界は厳しいが、読者に喜んでもらえるようなものを作るだけ

　年が明けて２カ月が過ぎた。相変わらずあまり明るいニュースを耳にすることはなく、先日も友人の離婚話を聞かされ、今後の人生についていろいろと考えさせられることばかりだ。

　中でも一番ショッキングだった出来事は、某競馬専門紙の休刊（事実上は廃刊）である。夜遅くにその新聞社に勤めていた方から電話があり、「ウチの会社、もう新聞出せんようになった」と言われた。「エッ？」と聞き返したきり、そのあとの言葉が続かない。何年も前から“危ない”という噂を聞いてはいたが、何の前触れもなく…。「こんなにあっけなく会社って潰れるんだ」と全身の力が抜けてしまった。取材中もその話題になり、隣にいた別の社の方がつぶやいた「明日は我が身だよな」という言葉が、今も耳から離れない。

　今のご時世、誰しも心のどこかにこういった不安は抱えているだろう。でも、実際には「まさか自分は…」と思っている。しかし、新聞業界はかなり厳しく、競争相手が１社減ったという安心感よりも、「次はどこだ？」という恐怖心の方が大きいのが現状だ。

　でも、「競馬新聞の未来はどうなってしまうんだろう」と嘆いていても仕方がない。今、目の前にある仕事に全力を注ぐだけだ。そして、読者やユーザーに喜んでもらえるようなものを作り続けていくしかないと思っている。

（美浦想定班・坂本卓也）

2008年02月28日