馬三郎25時

森元要輔

マツリダゴッホの世界デビューをしかと見届けたい

　「元気があれば何でもできる」…ある著名人の口癖だが、本当によく言ったものだ。今は心からそう思っている。と言うのも先日、左手の親指を痛め、現在は片手で原稿を書いているからだ。親指一本と聞けば軽傷に感じられるだろうが、手というのはよくできており、指一本でも使えないと左手全体が機能しなくなってしまうのだ。痛みも一向に治まる気配はなく、今週末は珍しく家に引きこもることになりそうだ。

　そんな筆者を尻目に、「元気があれば海外遠征もできる」と言わんばかりに今週、香港で世界デビューを果たすのがマツリダゴッホ。ドバイ遠征を断念するなど、ここまでも思惑通りにいかなかったが、日本出発直前にも機材トラブルで４時間待たされるなど、最後まで誤算続きとなってしまった。

　不運が続けば調教師はナーバスになるところだが、先週の日曜に調教スタンドに現れた国枝師の表情は実に穏やかだった。「海外遠征にトラブルはつきもの。リスクは伴うよ」と平然。それもこれも、ゴッホの状態に自信があるからなのだろう。「すべてはレースが終わってからだが、次はキングジョージか凱旋門賞のいずれかに挑戦させて、最後は有馬記念を連覇したい」と語る目は希望に満ちあふれていた。ゴッホの壮大な旅の幕開けを、包帯にくるまれながらしかと見届けたい。

（美浦時計班・森元要輔）

2008年04月25日