馬三郎25時

楽しみ大切にしたい３連単全レース発売

　３連単の全レース発売が始まり、６週間が過ぎた。すでに存在していた馬券、というのもあるのだろう。その購買範囲が拡大しただけだから、溶け込むのも早い。普通の馬券のひとつとして、根付いたのではないか。

　人の数だけ馬券の楽しみ方がある。僕は単勝を中心に購入する。馬単が発売されるようになったのが、０２年の夏。その１０年近く前のこと。先輩記者に「いつの日か、本命馬が勝たんと的中やない馬券が発売されるはずや。馬連で◎が２着に入って、喜んでいるようではあかん」と、教えられたことが、体中に染みこんでいる。それ以来、馬連で万馬券が的中しても、本命馬が２着の時は自分では外れとして扱ってきた。

　外れることがほとんどだから、課題ばかりが増えていく。借金を返すように、レース映像の反復と勉強を繰り返す。本社予想の責任として、１レース５点の予想のひとつひとつに全精力は注ぐ。ただ自分自身は、それを凝縮した◎の単勝馬券のみを買い続けた。馬単が登場したその日にようやく、購入する馬券がもうひとつ増えた。

　本命馬が３着で的中した時の３連単という予想は、ラッキーゾーンに入ったホームランのようなもの。質は低い。ただ、◎○▲だけは別だ。この３つの並びをきれいに決めたい。３連単の全レース発売で、その気持ちが強まった。本当に少額だが実は全レース、この買い目を買う日がある。配当の高低に限らず、増えた楽しみを大切にしたいと思っている。

（関西デイリー・藤村和彦）

2008年08月26日