馬三郎25時

梶尊佳

ニューヒロインの夢は海外へ

　「筋書きのないドラマ」の結末はスリープレスナイトの完勝だった。鞍上の“ヒロ”こと上村洋行が、勝利を確信してガッツポーズとともにゴールイン。ウイニングランの途中で目頭をぬぐうシーンが印象的だった。

　ヒロにとってこのスプリンターズＳが嬉しいＧ?初勝利となった。その喜びと感動を爆発させたのが、検量室前で橋口調教師の姿を見つけた瞬間。下馬するやいなや涙まじりの顔でその胸に飛び込んで行ったのだ。苦しい時に手をさしのべてくれた師へ感謝の念を表したのだろう。加えて63歳のバースディーに自らの手綱さばきで大きなプレゼントをしたのだっだ。全休明けの栗東トレセンでは橋口師をはじめ、スタッフに対して周りから祝福の言葉がかけられる。むろん上村騎手にもだ。小生も心の底から「おめでとう」の賛辞を送ったのは言うまでもない。

　さてヒロインのスリープレスナイトだが、橋口師は12月14日に行われる『香港スプリント』に挑戦するプランがあることを明かした。さらに来年はドバイ参戦も視野に入れているようだ。海外の強豪馬相手にどんな「筋書きのないドラマ」を演じるのか…。そこでも主演を演じるのではないか、と思うといまから楽しみで仕方がない。

（栗東想定班・梶　尊佳）

2008年10月08日