馬三郎25時

木村拓人

出てこい！「傷だらけのヒーロー」

　この時期になると必ず注目しているのがプロ野球のクライマックスシリーズ。やはり１年の総決算となる短期決戦。１試合１試合に感じるその緊張感は見ていて引き込まれるものがあり、いやがおうにも力が入る。

　とはいえ今年はペナントレースも非常に興味を持てるものだった。長嶋監督時代の「メークドラマ」を超える13ゲーム差を引っ繰り返した巨人の「メークレジェンド」。ここ数年はＢクラスが定位置だったオリックスがまさかの（ファンには失礼だが）２位。地元球団である楽天がもう少し頑張ってくれれば文句なしだったのだが…、それは来年以降に期待しよう。

　競馬でも恵まれてはいない状況から活躍馬が誕生すると、一気に盛り上がりを見せる。社会現象にまでなり、競馬人気を押し上げた地方競馬出身のハイセイコーやオグリキャップがその最たる例で、同じく一大ムーヴメントとなったディープインパクトの活躍＝競馬人気の起爆剤とまではならなかったのは、やはり「傷だらけのヒーロー」を人々が求めているからなのだろう。

　今は大牧場の良血馬が走って当たり前の時代。昔と比べて出現する可能性は低くなってしまったものの、競馬人気を復権させるような「ヒーロー」が出現するのを期待して、これからの競馬を見守っていきたい。

　（美浦想定班・木村拓人）

2008年10月12日