馬三郎25時

森元要輔

西高東低の意外な要因とは？

　先週のＪＣ。晩秋の東京競馬場で、スクリーンヒーローが主役に躍り出た。敢然と◎を打った佐野記者以外には到底予測不可能の結末だったが、今年２月に引退した矢野進師に、以前管理していたダイナアクトレスの孫が最高の恩返しをしたというシナリオは、まさしく映画さながら。過去のレース映像で岡部騎手を背に、牡馬に果敢に挑んでいくアクトレスを見て以来、同馬にほれ込んだ筆者にとっても、久々に感慨深いＧ?となった。

　しかし、この勝利を含めても関東馬は今年のＧ?シリーズでやっと２勝目。圧倒的劣勢の現状に何ら変わりはない。このことを調教スタンドで話題にしていると、栗東に滞在経験のある関係者が苦渋に満ちた表情で、美浦と栗東の違いについて筆者に訴えてきた。

　「坂路の傾斜や水道水の質の問題も大きいが、何よりショックだったのが道路環境だね。栗東ではすぐに高速に乗れるのに対し、美浦は高速に乗るまでがひと苦労。これは馬の輸送において大変なハンディだよ。東京競馬場は関東圏にあるが、正直、優位性はあまり感じられない」

　栗東の関係者の努力が今の状況をつくった最大の要因だが、ここまで条件が違い過ぎるのはいかがなものか。美浦の活気を取り戻すためにも、ＪＲＡには聖域なき改革を要望したい。


（美浦時計班・森元要輔）

2008年12月05日