馬三郎25時

悲しみ乗り越え…河内師へキングリー重賞Ｖのプレゼント

　札幌記念が終わりました。注目のブエナビスタは差して届かず２着。ただ、不向きな小回りコースでのものだけに、悲観する内容ではなかったと思います。やはり、札幌は圧倒的に内枠有利。その“好枠”を最大限に生かしたのが、勝ったヤマニンキングリーでした。

　管理する河内師はデイリースポーツの愛読者。ジョッキー時代からコラムなどで、紙面に登場して頂いてきました。ホースマンとしても、人間的にも尊敬できる存在です。そんな河内師に降りかかった大きな悲しみ―。それは、現役時代コンビを組んでいたアグネスタキオンの急逝でした。

　多くは語らなかったものの、そのときの師の落胆ぶりは、こちらの胸が痛くなるほどでした。何かできることはないだろうか。落ち着いたら手紙でも書いてみよう。そう思いながら何もできないまま、月日が過ぎていました。そんな矢先の札幌記念制覇。河内師のもとへ、何よりのプレゼントが届けられたようです。

　レース後、新潟から“おめでとうコール”をすると、うれしそうな声が返ってきました。「ありがとうな」。悪いことばかりが続くわけではありません。頑張っていればいいこともある―。そう思わせてくれる、今回の河内厩舎の重賞勝利でした。

（東京デイリー・竹下かおり）

2009年08月25日