馬三郎25時

文元仁

『５重勝単勝式』が救世主になるかも…

　「あれ？前に履いていたケミカルウォッシュのジーンズどうしたの？」

　これは以前、担当だった某厩舎の助手と久々に南スタンドで対面した時にかけられた第一声である。結構前のことをよく覚えているなあ、と思いそのことを口にしたが、「今時、そんなのを履いているのは君だけだから、覚えているのは当たり前じゃないか」と逆にヤリ返されてしまった。

　さらには○ーコのファッションチェックよろしく、筆者の服装をジロジロ観察して「今度はストーンウォッシュですか？」としたり顔でジーパンの銘柄まで当てる始末。「ファッションはループすると言うけど、ケミカルウォッシュの時代はもう来ないと思うよ」…長々とファッションに対するウンチクを聞かされた揚げ句、筆者の服装はダサ渋系に認定されました。

　話は飛んで、来春から『５重勝単勝式』が導入される。要はＪＲＡの指定した５Ｒの勝ち馬をすべて当てるという、いたってシンプルなルール。的中者がいない場合は当然、キャリーオーバー。最大２億円まで配当は跳ね上がる。

　筆者に対しては辛口だったその助手からも「今までメインしか見ていなかった人が他のレースも見るようになるだろうし、競馬ファン層の拡大のためにはいいんじゃないかな。ついでに対象外のレースも買おうかという話にもなるだろうしさ」と前向きなコメントが聞けた。

　先週のＪＣダートの数字が示す通り、入場人員、売上ともに下落に歯止めが利かないような現状。ファッションの先が読めない筆者みたいにならずに、『５重勝単勝式』が競馬界の救世主になってほしいものだ。

（美浦想定班・文元　仁）

2010年12月08日