文元仁

心臓が右についている！？

　毎日、馬の脚を観察しているだけあって、人間の歩様にもうるさいトレセン関係者は多い。ちょっとガニ股で歩いていようものなら、「あいつコズんでいるぞ」と皆から声をかけられる。普段から歩く姿勢の悪さは自負しているが、先日とある厩舎でとうとう、やり玉にあげられてしまった。

　「ちょっと、お前、このあたりを１周してみろ」と言われグルッとひと回り。今度は「靴の裏を見せてみろ」と言われたので、履き古された靴を見せると「ヤッパリな」とひと言。「普通に歩けば均等に靴底が磨り減るはずなのに、君は右のアウトサイドと左のインサイドが磨り減っている。これじゃあ右回りしか走れないな」と、さすがに目が肥えているだけあって厩舎関係者の観察眼は鋭い。

　「こりゃあ、明日から鉄を履かないと駄目だな。とりあえず馬用ので試してみるか」と言われたが、馬は基本的に真ん中に心臓があるもので、それが左に偏っていると右回り、右に偏っていると左回りが不得手になる傾向が強いという。ということは筆者の心臓は右についているのだろうか…。

（美浦想定班・文元　仁）

2009年12月10日