既に戦法は決まっている。ヴィルシーナの友道師は力強く宣言した。「どの枠順でも行くしかないと思っていた」。絶好の(2)番枠から逃げの手を打ち、波乱を演出する構えだ。

　デビュー以来、初めてハナを奪う形で運んだのが12年秋華賞。同世代の最強牝馬で、同年春の2冠で後じんを拝したジェンティルドンナを何とか負かすために、陣営が選んだ奇襲だった。結果は2着に終わったが、着差は鼻。しぶとさを存分に見せつけた。ライバルに勝って有終の美を。作戦に迷いはない。

　仕上がりは上々だ。金曜朝は栗東CWをゆったりと1周し、きれいな呼吸音で引き揚げてきた。「前走(エリザベス女王杯11着)はギリギリ間に合った感じだったが、1回使って良くなった。休み明け2戦目くらいが最もいい馬だから」とトレーナーはうなずく。後先を考えない、目イチの勝負。ジェンティルはもちろん、他馬の追撃も封じ込み、馬名の由来通りに“頂上”にたどり着いてみせる。

2014年12月27日